2013年10月30日

北海道標津町におけるヒグマ(Ursus arctos)出没確認ポイントの景観要因の把握

 みなさんこんにちは!!酪農学園大学修士2年の松橋杏子と申します。
 第23回盛岡大会にてポスター賞を頂ました。大変うれしく、また身の引き締まる思いです。

 今回発表いたしました研究は、北海道標津町においてH22年度から集約を始めたヒグマ出没情報を用い、標津町におけるヒグマ出没に影響を及ぼす景観要因の把握を目的に、標津町役場とNPO法人南知床・ヒグマ情報センターの協力のもと実施しました。標津町は役場と地元NPOが連携してヒグマ出没対応に当たっていることからヒグマ出没対応については比較的確立されたシステムが存在している地域です。しかし、ヒグマ出没の予測についてはNPO専属ハンターや役場職員でありNPOの一員でもある自然保護員の「川に沿ってくるんだ!」「防風林を伝ってくるんだ!」などと言った経験に頼った見解であり科学的根拠はありませんでした。そこでその見解が正しいのかを科学的に証明することにしました。

景観生態学会_ポスター.jpg
写真1 ポスター

 目的変数と説明変数をそれぞれ以下のように設定しました。
 目的変数:標津町内におけるヒグマ出没ポイント
 説明変数:森林の連続性の有無、林縁までの距離、針葉樹の割合、河川までの距離、建造物までの距離
 
 説明変数はこの他にも「道路までの距離」が考えられますが本研究で使用したヒグマ出没確認ポイントは市民や観光客の通報をもとにしているので、その大半は道路上やその付近に位置します。そこで「道路までの距離」は除外しました。また「針葉樹の割合」に注目した理由は道東地域特有の景観である格子状の防風林を考慮に入れたからです。
 
 GLMによる解析の結果、1,建造物までの距離が短い、2,河川までの距離が短い、3,針葉樹の割合が低い、4,森林の連続性がある、と言う景観でヒグマ出没確認が多いことがわかりました。

 NPO専属ハンターや役場の自然保護員の予想は“河川までの距離”については説明できました。しかし、「防風林を伝ってくるんだ!」という見解を説明する“針葉樹林率”については予想と反対の結果になってしまいました。このような結果になった理由としてヒグマが移動経路として針葉樹林帯を選択的に利用しているわけではないこと及び、防風林を構成する樹種は針葉樹であっても防風林と防風林や連続した森林と防風林をつなぐ樹種が針葉樹だとは限らないとこが要因だと考えています。

牧草地に出没するヒグマ.JPG
写真2 牧草地に出没するヒグマ

 今後はこの研究結果を応用し、標津町の森林部を除いた人間の活動範囲内におけるヒグマ出没ポテンシャルマップを作製したいと考えています。そして市民や観光客への啓発や教育の道具として役立てられればと思っています。



松橋 杏子(まつはし きょうこ)
1989年生まれ。神奈川県横浜市出身。現在、酪農学園大学大学院酪農学研究科修士2年在学中。
研究テーマは北海道標津町におけるヒグマ出没ポイントの環境要因について。
趣味・興味・関心のあることは、登山、野生動物の頭骨標本作り、狩猟。
posted by 管理者 at 09:26| Comment(0) | 景観生態学の現在
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