2013年08月09日

地域竹林管理計画支援ツールを用いた持続可能な竹林管理方法の選定 〜山口県周防大島町のケーススタディ〜

 第23回盛岡大会でポスター発表をさせていただきました、大阪大学の堀です。ポスター賞を頂きましたこと、大変嬉しく思っております。

 今回発表いたしました研究は、山口県周防大島町を対象に、放置竹林拡大への対策のため、数ある竹林管理や竹資源利用方法の中から持続可能かつ対象地に最適な管理および利用方法の選定を行ったというものです。放置竹林対策においては、竹林資源の隠れた環境・経済的価値と様々な管理方法による多面的な影響を評価した上で、持続的に生態系サービスが得られるような竹林管理と資源利用を合わせて行っていく必要があるため、今回の研究を行いました。

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写真1 ポスター

 竹林の管理・利用方法の評価は地域竹林管理計画支援ツールを用いて行いました。これは先輩である池野ら(大阪大学,2012)が開発したツールであり、対象地域の竹林面積や竹資源需要を生む人口等のデータを入力すると,竹林管理手法(輪伐や択伐等)と竹資源利用法(パルプ化や肥料化等)を組み合わせ,その各パターンで竹林を管理した場合の環境や経済への影響評価を行うツールです。このツールにより、周防大島町の全竹林を管理し資源は町内のみで消費すると仮定して評価を行った結果、「筍育成を行い間伐材は飼料化する」をというオプションが周防大島町に最適であるとわかりました。どの組み合わせで竹林を管理し利用した場合でも,自給能力と生物多様性には正の影響があり、炭素貯留効果もわずかに向上しましたが、補助金等を使わずに経済的収支がとれるオプションは二つしかありませんでした。周防大島町が雇用と景気への対策を必要としている自治体であることも考慮したため,この二つのうちより地域に大きな経済効果を与えていた上記のオプションが周防大島町に最適という結果になりました。この方法で生産される筍と飼料は、町内のみの消費では供給超過でしたが、出荷範囲を広げ需給バランスの感度解析を行った結果、飼料は周防大島町に隣接する柳井市と岩国市南部まで、筍は山口県周南エリア全域に出荷すると需給が均衡するとわかりました。

 この研究を行うに当たり、竹に関する知識を学び竹林について考えることが多かったため、今では山や森を見るとまず真っ先に「竹林が繁殖しているか」をチェックしてしまうという職業病のような癖がついてしまいました。ですが、発表の際にはたくさんの方が関心を持って話を聞いてくださったので、真剣に取り組んだ甲斐があったと感じています。

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写真2 発表風景

 今回の受賞を励みに、今後も価値ある研究成果を出せるよう努力していきたいと思います。ありがとうございました。



堀 啓子 (ほりけいこ)
1991年生まれ。北海道中川郡幕別町出身。現在,大阪大学工学部4年在学中。
研究テーマは、生態系と人間社会の共生を可能にする持続可能なシステムについての研究全般。趣味・興味・関心のあることは、旅行と日曜大工。
posted by 管理者 at 14:56| Comment(0) | 景観生態学の現在