2011年05月09日

景観生態学に関わる地域課題を身近に体験する

 淡路島は南北約50km,東西約30km,面積約595km2の島です.標高約608mの諭鶴羽山を最高峰とし,全島が照葉樹林域に含まれます.島の北部と南部で地質・地形や植生などが大きく異なりますが,そのほとんどが人為的影響を受けた二次的植生となっています.北部は里地里山が広がり棚田(写真1)もみられるものの耕作放棄地も存在し,水田としての維持も地域の課題となっています.また,淡路牛の生産が盛んで牛舎や牧草地もみられます.近年では放棄耕作地での放牧も行われています(写真2).

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写真1.淡路島を代表する里地である棚田(淡路市長沢)

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写真2.放棄耕作地での放牧(淡路市野島常盤)

これらはいずれも私が教育・研究を行っている大学院のすぐ近くに存在します.キャンパス自体が里地里山の中に存在し,学生たちは全寮制でその環境を利用し,良好な景観創出や維持管理や利活用の知識,技術を修得しています(写真3,4).景観の構造,機能やその変化を,研究対象としてだけでなく,生活の中で実感できることがおもしろいと感じています.また,保全すべき景観とは,そのための手段とは,を身近なところから体験を通して考えていくことが重要なのではないかと思っています.

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写真3.景観を構成する要素の一つでもある樹木の植栽(キャンパス内)

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写真4.里山利活用として毎年実施している小学生対象のプレイパーク(実習林)

 またキャンパスの住所は,兵庫県淡路市(旧北淡町)野島常盤で,阪神淡路大震災で地盤が割れ大きく報道された野島断層のある町です.1995年の阪神・淡路大震災の際、多くの被災者にとって大きな心の支えとなったのが花と緑,そして園芸作業でした.そこで,花や緑と称されることもある植物や景観が人を癒す力を持っていると考え,それらの研究や実践も身近に進められています.

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写真5.淡路景観園芸学校園芸療法課程の園芸療法実習




プロフィール
藤原道郎(ふじはら みちろう)
1962年 長崎県長崎市生まれ.博士(理学)
1992-2002年 千葉県立中央博物館学芸研究員
2002年 姫路工業大学自然・環境科学研究科助教授/兵庫県立淡路景観園芸学校主任景観園芸専門員兼務
2004年 兵庫県立大学(改組により名称変更)
2006年 兵庫県立大学自然・環境科学研究所 教授
2009年 兵庫県立大学大学院 緑環境景観マネジメント研究科(専門職)教授/兵庫県立淡路景観園芸学校
http://www.awaji.ac.jp/
http://www.awaji.ac.jp/gs-ldh/index.html
日本景観生態学会監事,編集委員.
Landscape and Ecological Engineering誌編集委員.
専門:植生学,景観生態学.
マツ枯れ後の植生変化が研究の原点.景観構造の変化と人為との関わりに興味がある.近年は海岸クロマツ林や竹林の維持管理,特定外来生物の防除などに関する研究や地域住民との関わりが中心となりつつある.日本初の農学系・環境系専門職大学院の教育・研究・地域貢献に携わる.


posted by 管理者 at 13:15| Comment(0) | 景観生態学の現在