2010年12月01日

土砂採取跡地に成立したハッチョウトンボ生息地の保全手法に関する研究を通して

 この度は、景観生態学会ポスター賞をいただき、大変光栄に存じます。景観生態学会の関係者の皆様、審査員の諸先生方に、深く御礼申し上げます。このような栄誉ある賞を受賞できましたのは、研究指導にご尽力いただいた日置先生をはじめ、研究活動をご指導・応援してくださった多くの方々のおかげだと思っております。心より御礼申し上げます。

 今回の学会発表では、土砂採取跡地に成立したハッチョウトンボ生息地の保全手法に関する研究について発表しました。鳥取県日野郡の真砂土採取跡地には湿地が成立しており、鳥取県で絶滅が危惧されているハッチョウトンボ(Nannophya pygmaea Rumber)をはじめとする多種のトンボが生息しています。この人為的攪乱後に生じた湿地環境は生物多様性の維持・向上に貢献し、保全する必要性が高いと考えられました。そこで、湿地の現状を把握するとともに、希少性・環境指標性・魅力を有した指標種として適当なハッチョウトンボに焦点を当て、その生息地としての湿地の保全手法について検討しました。

 ポスター発表では、卒業研究の内容を取り扱いました。初めての研究活動であったため何もかもが手探り状態で、目的と方法との関連性、調査効率、環境への影響の程度など、様々な面から研究計画を検討することの難しさと重要性を知りました。また、考察・解析方法に悩むこともありましたが、様々な方々からご助言いただき、知識・技術面で得られたものは多くありました。しかし、「この研究をやっていて良かった!」と思えた一番の理由は、たくさんの人に出逢うことが出来たことにあります。本湿地で保全活動をされている方々には、湿地に関する情報やご助言をいただいただけでなく、調査地に来られた際には休憩に誘っていただき、一緒におやつを食べながらの安らぎのひと時を楽しませてもらいました。自然歴史館の館長さんには、「一ヶ所の湿地だけじゃなく、他の湿地環境も知っておいた方が良い」と調査地周辺の湿地を案内していただきました。また、日野町や隣の日南町の方々も調査の応援に寄ってくださいました。調査が長引いた時には、「まだやっとるんか」、「気をつけて帰りなさい」と笑顔で言葉をかけてくださることもあれば、長時間、おしゃべりを楽しんで行かれる方もいらっしゃり、差し入れを持ってきてくださることもありました。この研究結果は地元役場で発表し、湿地の現況を知っていただくと同時に今後の取り組み方についての意見交換を行いました。これにより、現状把握から今後の課題へと前進した形となりました。本研究では、人とのつながりの面で地域に密着した研究の魅力を感じ、さらに結果を現場に活かし、保全活動のお手伝いをさせていただくことで、やり甲斐を実感することが出来ました。

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※ 写真:平成21年6月13日撮影、調査地

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※ 写真:平成21年12月25日撮影、法面上から見た調査地

 最後に、多くの方々の支えがあったからこそ本研究を遂行することができたということを心に留め、この研究を行う機会を与えてくださった方々、そして力添えしてくださったすべての方々に、心より感謝申し上げます。今後も精進を重ねて参りたいと思いますので、宜しくお願い致します。



・プロフィール
須賀奈津子 (すがなつこ)
1988年生まれ。愛媛県松山市出身。現在、鳥取大学大学院農学研究科修士課程1年在学中。
修士課程での研究テーマは、土石採取跡に成立した湿地の多様性評価および湿地ビオトープとしての利用可能性に関する研究です。趣味はピアノやリコーダー、大学の屋上や古墳の森で気分転換をすることです。興味・関心のあることは吹奏楽、オーケストラ、土石採取跡地、森林セラピー、就職活動などです。

posted by 管理者 at 17:48| Comment(0) | 景観生態学の現在